
大量のデータが必要なAI
ソフトウェア側のキーワードをメディアでよく目にすることが多い中で、ハードゥエアに着目して行きたいと思う。日本は部品レベルの製造業が強いですし。
アメリカの OpenAI 社の ChatGPT、Google でお馴染みアメリカの Alphabet 社の Gemini、NTT の tsuzumi など聞いたことがあるはずだ。これらは、LLM(大規模言語モデル)といって、生成 AI のソフトウェア側の中核的な技術だ。
AI の指示書であるプロンプトは、スマホから携帯電話の 5G 回線、インターネットを通じて、AI データセンターへ送られる。それで、学習させた AI サーバーが LLM を利用してもっともらしい文章を書いてくれる。作られた文章は、先ほどの逆で、AI データセンターからインターネット、5G 回線を経由してスマホに送られてくる。
今は、誰しもが使うAI。メールなどの文章も作ってくれるし、質問を投げかければ、時に期待以上の答えをする非常に優秀なアシスタントになってくれる。仕事ではアシスタント、プライベートでは恋人のように返信してくれる、らしい。
AI データセンターの中では無数のコンピュータが連動している。暗い中で、緑色の光が点滅しているような光景をテレビなどで見たことがあるだろう。それら無数のコンピュータ同士が連動して大量のデータを使用している、通信している状態だ。
光で通信する
以前は銅線(銅は抵抗が少ない)を使って信号を送っていたが、最近は可能な限り光を使って信号を扱うように、特に変化している。
そのためフジクラという光ファイバーの会社の株価が上昇したのは、光ファイバー通信の需要が拡大すると見込まれたからだ。
しかし、これは情報である光の通り道。もちろん通り道は必要です。情報の光は、光トランシーバーと呼ばれる装置によって送受信される。日本では経済産業省の支援のもと、高速光通信用の光トランシーバーを NTT や三菱電機、富士通、KDDI、住友電工などが開発を行ってきた。光のデータを作り受け取る、光情報ー電気情報変換装置だ。
光は早い。それは誰もが知っているが、コンピュータは電気で動いている。だから、全て電気で構成されている分には、技術的に簡単だった。もちろんスパコンも当初は電気だけで動いていた。だから、例えば東京ー大阪間といった長距離の通信に光を利用することで、早く消費電力も少ない通信を実現していた。
AI を欲すると大量の電力が必要
そして AI データセンターを冷やすエアコンの電力もバカにならないくらい大きいのです。金属に電気を流すと発熱するでしょ。同じ原理。コンピュータのチップの回路に電流が流れてゼロ-イチの信号処理を行っているだけ。そのチップが数え切れないほどあるから、発熱量も半端じゃない。それに、そんなにたくさんの電力の準備ができない。
とは言っても、強力な AI データセンターは、イノベーションを起こす材料開発や、情報セキュリティで利用される、言わば国家安全保障上で重要な装置。だから電気はとにかく作りましょうということにもなる。
ものすごい電力を必要としてしまう AI データセンターでは、遠くの発電所から電気を引っ張ってくるような普通の商業施設のようにも行かなくなる。アマゾンのデータセンターなどでは、巨大なデータセンターの隣に原子力発電所を建設する事態になっている。
そこで登場するのが、リチウムイオン電池を利用した蓄電所とSMR(小型モジュール炉)と呼ばれる小型の原子力発電所で、日本政府もその建設を進めようとしている。
蓄電所は、昼間しか発電できない太陽電池のバッファーとして電力の安定供給のために使われる。
SMR では昼夜問わず大量の電力を供給できるようになる。CO2 も出さないし、何かあった時は石棺にすることも小さいから簡単ということを謳っている。
電力を供給するという方向では SMR を利用、使う電力を減らそうという方向は光通信を使おうということだ。
データセンターのそれぞれのコンピュータを接続する通信に光トランシーバーが使われるようになっている。光のメリットは、情報伝達が速く、電力の使用が少ないということに加え、発熱も少ないということだ。
光トランシーバー技術の先に、光電融合デバイス技術がある。
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